The symposium about river engineering, 2022

パイピング孔進展と水位履歴に着目した河川堤防のパイピング破壊のメカニズムと矢板効果

著者

伊神 友裕1,前田 健一2,澤村 直毅3,一瀬 守3

1.東海旅客鉄道株式会社(元名古屋工業大学),2.名古屋工業大学 教授 高度防災工学センター,3.名古屋工業大学大学院 工学専攻

説明資料

コメント (2)
  1. 田端 幸輔 より:

    砂粒子の運動までは立ち入らずに、浸透流計算の工夫によってパイピング進展を再現していると思いますが、その具体的な方法を教えてください。
    また、漏水流量を「弱体化の指標」として用いることを提案されておりますが、そもそも基盤が弱体化した状態を、より直接的な物理量で表すことは現状では難しいと考えた方がよいのでしょうか。当然、それを数値計算で予測できることが求められると思いますが、それが難しいので漏水量で手を打っている という風に見えてしまいました。本質論として、「弱体化」をシミュレーションし評価するためのアイデア(あるいは課題)についてご提示いただけると幸いです。

    1. 澤村 直毅 より:

      田端様
      ご質問ありがとうございます。
      浸透流解析の方法ですが、堤体直下・奥行き中央においてパイピング孔の進展度を10段階で変化させ、それぞれのケースで定常解析を行っています。それによって、非定常現象であるパイピングの進展具合を再現しています。また、パイピング孔内は浸出面境界としており、圧力水頭は0となっています。
      次に漏水流量を弱体化の指標として用いる理由です。地盤の中では、水が流れると粒子が抜けるという因果関係があると思います。そのため、堤内側からの漏水流量は、砂粒子がどの程度流出しているかという弱体化する地盤の状態をよく表し、どちらかというと直接的な指標なのではないかと考えています。そのため、漏水流量による検討を進めています。
      最後に、「弱体化」をシミュレーションし評価するアイデアについてです。それは、今回の解析のようにパイピングの進展度を段階的に分けて、その進展度の時にはどの部分に水が集中しているかというところを観察することだと考えています。また、課題についてはご指摘にもありました通り、粒子の移動が考慮できていない点です。やはり、漏水によって粒子の移動が生じるため、今後はミクロな視点でも検討しなければならないと考えています。