The symposium about river engineering, 2022

2019年台風15号による霞ヶ浦の急激な水位変動の解析

著者

武若 聡1,原 慧太朗2,新谷 哲也3

1.筑波大学 教授 システム情報系,2.鹿島建設株式会社,3.東京都立大学 准教授 都市環境科学研究科

説明資料

コメント (2)
  1. 諏訪 義雄 より:

    コメントです(回答は必須でありません).

    論文p107の「河川区間内では出水の減衰時の水位低下による護岸被災を警戒することが多い」には一般論としては同意できません.法覆工の下に砕石が設置され排水も考慮されているはずなので1m/hour程度の水位低下単独で被災するのは考えにくいと思います.
    ただ、発表資料のスライド4枚目の写真を拝見すると,法肩できれいにせん断破壊しているようです.法覆い工背後の残留水圧排水が考慮されていない・排水穴が透水性の低いシルト堆積により塞がっていた等により,残留水圧が遮水性の高い法覆い工(厚さは15cmかせいぜい30cmと思われる)を持上げて破壊した可能性もあると思いました.
    排水の設計と排水孔の実態調査を管理者に助言いただくと有効ではないかと思いました.もし背面残留水の排水が考えられていなければ,逆止弁機能を持つ排水孔を設けることが再度災害防止につながるのではないでしょうか.排水は考えられていたが機能喪失した・機能しなかったとすれば,残留水の排水の考え方を見直す必要が出てきます.
    なお,船舶航行が多い感潮域や湖沼の平張護岸被災実態から考えると,むしろ,河床低下・局所洗堀に伴う基礎底面露出や法覆工破損と流れ・波浪や航行波等による周期の短い水位変動の複合で吸い出し破壊が起きる場合が多いと思います.
    湖沼では風浪や航行波の作用も無視できないはずですが,被災実態についてしっかり(力学的に)検討されている例を見たことがありません.著者らが,風浪による構造物破壊まで研究を広げて,湖沼や感潮域の構造物被災実態の解明や構造物管理をリードしていただけることを期待します.

  2. 武若 聡 より:

    諏訪様

    詳細なコメント・アドバイスを頂きありがとうございます.
    お礼申し上げます.

    低水護岸背後の土中内の水理メカニズム・プロセスは当方で解析できるものではありません.次の機会にその方面の解析に強い方の支援を仰ぎたいと思います.

    短いフェッチ(1000メートル以下)での波発達の実測データは無いと思います(需要が無い?).霞ヶ浦では,強風時の越波が引き続き関心事なので,検討方法について考えてみたいと思います.

    頂いたコメントは霞ヶ浦河川事務所の皆様にお伝えします.

    2022/06/13 武若・筑波大学