浦上ダム再生における貯水池掘削の技術的特徴と実施状況
橋口 茂/前 長崎県 長崎振興局 建設部 河川課(現 長崎大学大学院 総合生産科学研究科 博士後期課程)
岩永 正幸/長崎県 長崎振興局 建設部 河川課
髙野 伸介/長崎県 長崎振興局 建設部 河川課
山田 裕志/長崎県 土木部 河川課
井手野 宏明/西日本技術開発株式会社
多田 彰秀/長崎大学大学院 総合生産科学研究科
- 著者氏名/所属
岩永 正幸/長崎県 長崎振興局 建設部 河川課
髙野 伸介/長崎県 長崎振興局 建設部 河川課
山田 裕志/長崎県 土木部 河川課
井手野 宏明/西日本技術開発株式会社
多田 彰秀/長崎大学大学院 総合生産科学研究科
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ダム再生事例についてご紹介いただき,ありがとうございます.私も会場から出ていた最後のご質問と同様な疑問を持っており,今後堆砂問題をどのように解決するのか,100年の計画だとしてもその後または途中で過去のような大量の土砂が入ったときにはどうするのかを再生するなら考えておく必要があるように思います.(中部では現在困っているダムが多いため,困る前に対策を考えておくべきと思いますし,土砂が来ない河道環境に慣れてしまうと,土砂を流すことに対し理解を得るのが難しくなります)その点から,改めてお考えをお聞かせいただけると幸いです.
名城大学教授 溝口 敦子 様
コメントをいただきまして、まことに有り難うございました。
発表当日は、会場においてお受けしたダムの堆砂量に関する質問と私からの回答に関連いたしまして、計画堆砂量の設定や堆砂対策等に関してもご指摘をいただきましたが、発表の持ち時間を過ぎていたこともありまして、私の説明が十分ではなかったものと考えております。
こうした状況におきまして、コメントをいただきました「今後堆砂問題をどのように解決するのか,100年の計画だとしてもその後または途中で過去のような大量の土砂が入ったときにどうするのか」とのご指摘につきましては、次のように回答いたします。
まず、堆砂問題に関する認識といたしまして、浦上ダム再生においては、建設後80年という長期間を経過した水道専用ダムに対して、洪水調節容量を付加する治水ダム化を目的として計画しており、ダムの堆砂とその対策につきましても、ダム再生完了後のダム管理における重要事項と考えております。
次に、浦上ダム再生後における堆砂量の見込みにつきましては、長崎豪雨災害以降、上流域の都市整備に伴い土砂生産域が非常に小さくなっております。加えまして、豪雨災害以降に土砂災害対策の各種施設整備も進んでいることから、長崎豪雨災害時のような堆砂量は発生しにくいと想定しております。
こうしたことから、設定している計画堆砂量の16万m3は、近年の堆砂傾向を踏まえて妥当なものと判断しております。
続いて、ダム再生後において大量の土砂が生じうる豪雨災害等で堆砂量が増加する場合の対策といたしましては、災害等で流入した堆砂量を速やかに調査し、必要量について掘削除去する対策等を行う方向としております。
これらの点につきましては、発表当日にご説明できなかったことでございます。
これから浦上ダム本体の嵩上げを含む大規模な改築に向けて設計・施工を進めていくにあたり、溝口先生からコメントいただきました視点を含めまして、各種堆砂対策についても検討の上で、適切な堆砂対策も含めて進めていくことが肝要かと考えております。
今後とも、ご指導を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
今日の発表の際にも申しましたが、これまで年間平均約1万m3ペースの土砂堆積があって、再開発後の堆砂容量が16万m3しかなく、何らかの堆砂対策もなしに長崎水害分はノーカウントにしたという本日の説明通りなら、貯水池堆砂計画は破綻していると言わざるを得ないと思います。土砂バイパストンネルをセットで考えている等何かあるのではないですか?本当に何もないなら、国交省の基本設計会議の機能も疑われます。
安田 吾郎 様
会場ではご質問をいただくとともに、コメントもお寄せいただきまして、まことに有り難うございました。
当日(6月20日)は、会場においてダムの堆砂量の実績値と計画値に関するご質問をいただきましたが、浦上ダムの暫定供給開始から約80年を経て約37.8万m3の堆砂量となっておりまして、その大半が長崎豪雨災害によるものでございます。この事実を踏まえまして、計画している堆砂量は、近年の堆砂の傾向に沿ったものであることを会場でご回答いたしました。
しかしながら、この回答を受けた計画堆砂量の設定や堆砂対策に関するご指摘につきましては、発表の持ち時間を過ぎていたこともありまして、十分なご説明ができませんでしたので、以下に補足説明させていただきます。
浦上ダム再生において、今後の堆砂量の見込みにつきましては、長崎豪雨災害以降、上流域の都市整備に伴い土砂生産域が非常に小さくなっております。加えまして、豪雨災害以降に土砂災害対策の各種施設整備も進んでいることから、長崎豪雨災害時のような堆砂量は発生しにくいと想定しております。
こうしたことから、設定している計画堆砂量の16万m3は、近年の堆砂傾向を踏まえて妥当なものと判断しております。
その上で、ダム再生後に豪雨災害等で堆砂量が増加する場合の対策といたしましては、災害等で流入した堆砂量を速やかに調査し、必要量について掘削除去する対策等を行う方向としております。
これらの点につきましては、発表当日にご説明できなかったことでございます。
浦上ダム再生においては、今回お示しした貯水池掘削に続いて、これから、ダム本体の嵩上げを含む大規模な改築の設計・施工を行う予定です。
今後は、安田様からコメントをいただきました視点を含めまして、堆砂に係る各種対策をあわせて検討の上で、適切な堆砂対策も含めた浦上ダム再生の事業を進めていくことが重要かと考えております。ご理解の程、何とぞ宜しくお願い申し上げます。