表面被覆型対策工が設置された堤防裏法部の流れと堤体侵食を評価する解析手法の開発と堤体表面に形成された初期侵食が及ぼす影響評価” に対して3件のコメントがあります。

  1. 名尾 耕司 より:

    三井共同の名尾と申します。
    ご発表ありがとうございました。
    堤防裏法の表面流と被覆材ブロック下面の流れを詳細に解析されており、大変勉強になりました。

    ご発表において、越流水は上流部でブロック下面へ流入、下流部でブロック上面へ流出するなかで、ガリ部の流れが行き止まりとなることでブロック下面の圧力が高くなる傾向があること(図-13)、土砂で隙間が詰まることによる圧力上昇に伴いブロックの変形が発生したという考察を示されています(図-17)。

    ここで、
    仮に異なる形状のブロックを使用しブロック間の隙間が小さくなった場合、土砂詰まりの場合と異なり法面全体にわたって流入流出が抑制される傾向になると思いますが、この下流部におけるブロック下面の圧力上昇の傾向及び、図-13の圧力分布の傾向はどのように変化することが考えられますでしょうか?
    解析条件外のご質問で恐縮ですが、ご意見等いただけると幸いです。

    (本研究は、粘り強い堤防と同様に越流を考慮する越流堤の設計においても参考とできるのではと考えました。越流堤設計の場合は、この粘り強い堤防の場合と同様に、異なる形状のブロックを使用することもありますし、隙間のないフェーシング形式(コンクリート+砕石層等)の使用を検討することもあります。下面圧力が上昇すると被覆材の安定計算上特に注意が必要とも考えます。
    このようことから、ブロックの隙間と下面圧力特性について関心を持ちました。)

  2. 後藤 岳久 より:

    三井共同建設コンサルタント
    名尾様

    ご質問頂き有難うございます.

    ご指摘のとおり,ブロック下および吸出し防止シート下に侵入する水を抑制出来れば,堤体法尻付近でブロック下面から受ける圧力は抑制される可能性はあると思います.一方で,堤体の状態と関係で,一旦,水が進入してしまうと,逆に水が抜けずらく,ブロック下面に作用する圧力が上昇してしまいますので,堤体の施工・管理と併せて検討することが重要と思います.

    当方らの研究成果から例を示しますと,図-13はブロック下面に作用する圧力分布は,図-7に示すように堤体に表面にガリがある状態に対しての解析結果です.従って,ブロック下および吸出し防止シート下に水が進入しやすく,吸出し防止シート下の流速も大きくなる条件ですので,法尻付近で,比較的流速の大きいガリ部の流れが行き止まりとなることで,圧力が上昇しております.ここで,両端のガリはブロックの接続部に位置しますので,水は進入しやすい一方で,流出もし易いので,圧力の上昇はさほど大きくありません.しかし,中央のガリは,ブロックにより蓋がされている状態ですので,圧力の上昇量が大きくなる傾向があります.

    従って,ブロック下および吸出し防止シート下に水が進入しずらく,そこでの流速が大きくならない状態が維持できれば良いと思いますが,ブロックの隙間を小さくしてもブロックと堤体(or吸出し防止シート)に隙間がある等の状態が生じてしまうと,ブロック下の流速が大きくなり,ブロック下面に作用する圧力が上昇しますので堤体の施工・管理と併せて検討することが重要と思います.

  3. 名尾 耕司 より:

    後藤先生
    ご回答頂きありがとうございます。
    圧力上昇に対するガリの影響と、それに対する堤体の施工管理の重要性についてご意見いただきました。このご意見をふまえ、堤防設計時においては、施工時における施工管理を重視するとともに、施工後の堤体変形(圧密沈下等)についても配慮しておいたほうが良いか、等と考えました。
    また、越流水のブロック下面への進入と流出、ガリ部の流速の変化と圧力分布の変化に関するご意見をいただきました。これより、圧力上昇の観点から裏法部の排水性について考えることが重要となるものと考えました(被覆材の隙間や透水性、堤体内におけるドレーン等排水施設の影響等)。
    大変勉強になりました。
    ありがとうございました。

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