The symposium about river engineering, 2022

河道掘削後の経年的なモニタリング結果に基づく水理諸量の分析と樹林化抑制に関する考察

著者

川上 北斗1,傳甫 潤也1,今村 仁紀2,萬谷 太雅2,大石 哲也3,住友 慶三1,千葉 学4,石井 貴之1

1.株式会社ドーコン,2.国土交通省 北海道開発局 建設部,3.国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 寒地水圏研究グループ,4.一般財団法人北海道河川財団 企画部

説明資料

コメント (4)
  1. 田端 幸輔 より:

    自分の拙い理解では、融雪出水は、高水敷に水分と栄養分を補給することで種子定着を助けるはたらきがあると思っておりましたが、本研究では、逆に種子定着を防ぐものとして扱われているようです。実データから見ると後者が正しいということでしょうか。この点についてご意見いただけると幸いです。

    1. 川上 北斗 より:

      田端様、コメントいただきありがとうございます。
      融雪出水についてはご指摘のとおり、多くの植生については水分・栄養分の補給といった、生長・種子定着の助長効果があると思われます。
      しかし、本研究で対象としたヤナギ類に関しては、種子散布時期が4月-5月下旬に集中するため、”散布直後の種子(実生も含む)を細粒分と同時に浮上させる”といった融雪出水の物理的な抑制効果を仮定して、考察しておりました。
      融雪期・夏期を含めて、冠水日数が樹林化抑制に及ぼすメカニズムについては今後検証していく必要があると考えております。

  2. 溝口 敦子 より:

    (田端さんの質問にも関連しますが)対象が北海道の河川ということで,植物の生長時期,年間の出水の特徴を踏まえると,どの時期のどのような出水が何の役割を果たすのか,地域性が大きく関連する部分があるように思います.他の地域を考える際に前提を変えないといけない部分もあると思いますがいかがでしょうか?

    1. 川上 北斗 より:

      溝口様 コメントいただきありがとうございます。
      ご指摘いただいたとおり、北海道以外の地域を対象に検証を行う場合ですと、融雪期冠水日数やGL値といった、北海道特有の気象・植生に関する前提条件(融雪出水やヤナギ類稚樹に着目した撹乱目安(GL値)等)を変える必要がございます。
      しかし、“撹乱発生頻度“や”SG2-2の施工後の堆積抑制“に関しては、地域性に依らず多くの河川での掘削形状検討時に通じる考え方かと思います(撹乱の目安についてはGL値以外の表現が好ましい)。
      現時点で具体の考えは整理できておらず恐縮ですが、今後他地域の樹林化抑制を検討する場合は、別途気象・植生条件を踏まえた条件を検討していきたいと考えております。