The symposium about river engineering, 2022

2017年九州北部豪雨後の山地河道の地形および河床材料の変化

著者

佐藤 辰郎1,伊豫岡 宏樹2,坂元 竜太郎3,髙田 浩志4

1.九州産業大学 准教授 建築都市工学部都市デザイン工学科,2.福岡大学 助教 工学部社会デザイン工学科,3.九州産業大学 建築都市工学部都市デザイン工学科,4.九州大学大学院 工学府都市環境システム工学専攻

説明資料

コメント (3)
  1. 井上 隆 より:

    東京理科大学大学院・博士後期課程2年,井上隆と申します.河道を形成する地層によって,大規模洪水後の様相が異なることを明らかにされており,興味深く論文を拝見させて頂きました.ありがとうございました.以下,ご質問を示します.
    ・特に花崗岩のような侵食されやすい地形に変遷していく中で,適切な対策を講じることが重要であると思いました.今回は,山地河川を研究対象とされておりましたが,平野部にも類似した地層を有する箇所はありますでしょうか.地層に関して勉強不足で恐縮でございますが,ご教示いただけますと幸いです.

    1. 佐藤 辰郎 より:

      コメント頂きありがとうございます。一般的に平野部では色々な地質の河川が合流し,河床材料も混ざっていくため,地質の違いに起因する河道特性の違いは明瞭でなくなってきます。
      平野部だと,河床の岩盤が露出した際にその露岩部の岩質によっては河床や河岸の顕著な侵食等が発生することが報告されています。鬼怒川では,露岩した河床が砂層と粘性土層の互層構造になっており,露岩後に大きく河床が低下しました1)。また,火山灰や火砕流が堆積した地層が河床や河岸に露出した場合に侵食されやすいようです。栃木県の余笹川では,河岸侵食されやすい場所は火山灰性の堆積砂と大径の礫との混合であったことが報告されています2)。熊本県の白川の改修では,阿蘇山の火砕流が堆積した阿蘇4という地層が露出した場合に大きく侵食されることが予想され,改修計画を立てる際に対応に苦慮されていました。

      1)伊藤ほか, 余笹川にみる低頻度大洪水による横侵食性河道変化の実態とその考察, 水工学論文集, 2001, 45 巻, p. 781-786 https://www.jstage.jst.go.jp/article/river/21/0/21_277/_pdf/-char/ja
      2) 小川ほか, 鬼怒川下流部における泥岩・沖積粘性土層の露出河道の侵食特性について, 河川技術論文集, 2015, 21 巻, p. 277-282
      https://www.jstage.jst.go.jp/article/prohe1990/45/0/45_0_781/_pdf/-char/en

      1. 井上 隆 より:

        ご教授・ご回答頂き,ありがとうございました.鬼怒川や白川の例を拝見しますと地層が複雑な構造を有しており,改修計画が困難であると,実感いたしました.参考文献まで記載して頂き,ありがとうございます.