The symposium about river engineering, 2022

深層学習を用いたダム流入量予測における学習データ拡張方法の提案 -未経験規模の出水に対する適用性の向上-

著者

一言 正之1,荒木 健1,箱石 健太1,遠藤 優斗1

1.日本工営株式会社

説明資料

コメント (4)
  1. 呉 修一 より:

    毎度大変貴重な研究成果をありがとうございます。流出率を1.0で飽和状態を想定して洪水拡大を行う点、素晴らしいアイデアだと思いました。少し感じたのは、この手法だと雨の流域平均の取り方や雨量地点の配置などの違いが、大きく結果に影響してこないかな?と思いました。従来は流出率で調整していた誤差が顕在化する感じです。この点も含めて学習されるものだと思いますし、他の流域での検証がなされるとのことなので、この点も自然に解消されると思いましたが、コメントさせて頂きました。富山県立大学 呉修一

  2. 一言 正之 より:

    呉先生
    貴重なコメントありがとうございます。ご指摘の通り、雨量地点配置による影響は考える必要があります。
    そのため本手法は少し適用範囲を絞って考えています。本手法では、流域全域が飽和するような状況を想定しています。流域もあまり大きくない条件を想定しています。そのような場合では、あまり雨量地点の配置はそれほど気にしなくて良いものと思っています。

    逆に、雨量分布が偏っている場合、流域が部分的にだけ飽和するような場合では、本手法では効果があまり出ないものと思います。(そのような状況は、もともと実績データで学習できていることを前提としています。)

  3. 三浦 心 より:

    ご発表、ありがとうございました。
    私もAIの流量・水位予測を行っておりますが、学習の最大規模を超える洪水はどうしてもピークを過小評価してしまう傾向がありますで、現場でも苦労しているところです。それを解消する手法として、とても有用な研究であると思います。
    発表の中で説明がありましたが、私も小さな流域の方がこの手法が適用できそうだなと感じました。(降雨の時空間分布や流出の遅れなどの影響が少ないため)
    今回、野村ダムを対象にされたということですが、流域面積が1/3くらいの寺内ダムの方がよい結果がでているのではないかと思います。次の論文、拝見できることを期待しております。
    株式会社 建設技術研究所 三浦

    1. 一言 正之 より:

      三浦さま、ありがとうございます。
      コメントいただいた通り、大きな流域では無理が生じそうだと思っています。

      寺内ダムはちょうどケーススタディを進めているところです。条件は良く、しっかりとデータ拡張の効果も出ています。ただ既往最大(2017九州北部)がそれ以前の3倍以上となっており、さすがに再現性には限界がありました。詳しくは、水工学もしくは他の機会にご紹介できればと思っています。