The symposium about river engineering, 2022

石狩川下流域における支川群の洪水流出特性と本川洪水への影響

著者

石井 優太朗1,吉村 俊彦2,福岡 捷二3

1.中央大学大学院 理工学部研究科 都市人間環境学専攻 博士課程前期,2.国土交通省 北海道開発局 建設部,3.中央大学研究開発機構

説明資料

コメント (5)
  1. 内田 龍彦 より:

    ご説明から水文的アプローチがダウンスケーリング(トップダウン)の考えであるのに対し,水理的アプローチがアップスケーリング(ボトムアップ)の考えと感じ,後者から実態解明することが重要であることがよくわかるご発表と思いました.特に,8頁目は流域治水の名にふさわしい図と思います.水理解析はもう少し細かな現象まで力学的に解いていると思いますが,8-9枚目のような大きなスケールの検討に対して,水理解析の妥当性の向上や高度化が具体にどのような点で重要になるのかについてご説明いただけるとありがたく思います.

    1. 石井 優太朗 より:

      内田先生
      ご質問頂き,ありがとうございます.
      流域全体での降雨から流出まで取り込んだ大きなスケールの検討に対し,水理解析の向上や高度化は,正確な流出量,貯留量の推定に特に必要となると考えます.洪水時の水面形の時間変化を観測し,その水面形に合うように解析を行う洪水流解析では,各地点での流量を推定することができるため,精度の高い流出量や貯留量を求めることができると考えます.ただ,流域対策を行う際には,流域内の細かい降雨分布の偏りを含めた検討を行うことも重要となります.各小流域からの各時間,各地点での流出量や貯留量を,現在は貯留関数法等で求めていますが,降雨の分布や偏りも考慮できる解析手法で求めた流出量と,水面形解析で求めた河道貯留量,さらにそれを統合化した流域全体としての貯留・流出構造を正しく分析することが今後は重要となると考えます.

      1. 内田 龍彦 より:

        ご回答ありがとうございました.流域全体の洪水伝播特性の解明のためのさらなる研究の進展を期待しております.

  2. 福島 雅紀 より:

    支川をできる限り取り込み水位計算を実施することは、水害リスクを評価する上で重要と思いました。今回取り込んだ支川のデータはどのようなデータを用いて、その精度はどの程度のものであったでしょうか。確認させていただきたいのは、越水の有無や氾濫量の的確な推定に利用できるようなデータとなっているのでしょうか。

    1. 石井 優太朗 より:

      福島様
      ご連絡が遅くなり申し訳ございません.
      ご質問頂き,ありがとうございます.
      今回用いた支川のデータについて,地形データは,平成22年から平成27年の間に測量された定期横断測量データを基に河道形状を再現し,解析を行っています.
      また,水位データは,主要な河川である千歳川では,6km間隔程度で設置された水位観測所のデータを用い,水面形の時間変化を再現しています.
      水位解析区間では,越水や氾濫はありません.今後は,本洪水以降に設置された危機管理型水位計等で得られる多点水位データを用いることが可能となり,より精度の高い水面形の時間変化による水収支分布図の解析が可能となります.