逆流防止操作が必要となるタイミングの前後における支川合流部の水門付近の流向・流速分布

著者

  • 安田吾郎/株式会社IHI
  • 白川祐樹/株式会社IHI
  • 髙良圭/株式会社IHI
  • 鴨志田穂高/株式会社IHI
  • 清水康行/北海学園大学
  • 坂口誠/国土交通省九州地方整備局筑後川河川事務所
  • 熊井教寿/国土交通省九州地方整備局筑後川河川事務所

説明資料

逆流防止操作が必要となるタイミングの前後における支川合流部の水門付近の流向・流速分布” に対して13件のコメントがあります。

  1. 安田 吾郎 より:

    ポスターについては以下のサイトに掲載しています。
    https://www.river-jsce.jp/2025symposium/ps2/535/
    また,20日の発表時に動画でご紹介する予定の部分については,このバージョンでは動画サイトのQRコードで代替しています。宜しければ,スマホの「カメラ」等でQRコードを読み取って動画を眺めてみてください。

  2. 鈴田 裕三 より:

    洪水時の水門付近の流況が詳細に再現されており、大変興味深く拝見しました。p.14の水位と流量の関係は合流先の筑後川本川の水位が大きく影響するものと思いますが、筑後川本川の水位を示していただけると一連の現象の理解がさらに深まるかと思いました。①と②のタイミングでは水門位置で同じ水位でも本川水位はかなり差があるのではないかと思います。①と②では計算上どの程度の本川水位差があるのでしょうか?
    また、p.15の逆流開始時点でH24とR2では流況が大きく異なっていますが、要因として挙げられている「渦の規模の違い」は主に何が影響するのでしょうか?もしわかれば教えてください。
    ちなみに、QRで動画も拝見しましたが、GELATO動画は水の堰上げ効果がリアルに表現されていて現象を理解しやすいと感じました。これは流速ベクトル図からデータを変換(なんらかの補完)することで作成可能なのでしょうか?

    1. 安田 吾郎 より:

      鈴田様、貴重なコメントありがとうございます。
      全体では長くなりそうなので、以下、項目毎に別コメントでリプライさせて頂きます。
      まず、p.14(H29洪水での水門地点水位と水門地点での桂川流量の図)の関係で頂いた、新桂川水門の水位と比べて筑後川本川の水位がどうなっているのか、バックウォーターによる滞留時(①)と筑後川本川に吸い出されるとき(②)とでどう違うのかというご質問ですが、本川(それも場所によりますが)との水位差については、論文掲載物ではないですが、モデルの対象範囲全体での計算の中で数字は出していますので、何らかビジュアルに見て頂ける形のアウトプットを出して、見て頂けるようにしたいと思います。なお、流量が少ないときのシミュレーションでは、桂川自流の水位の方が筑後川水位より高いことの影響で新桂川水門の直下の部分で結構水位差が生じる場合があることを確認していますが、P14でのご指摘の水位レンジだとそれは成り立たなそうなので、桂川の流量に見合った水面勾配になるかとは思います。すなわち、①の状況でもH29では逆流まではしていないので、水門部と本川ではあまり水位差が無く、一方で②の状況の際にはそれなりの水位差があるものと考えています。

      1. 鈴田 裕三 より:

        安田様 対面のご発表も興味深く拝聴させていただきました。
        >①の状況でもH29では逆流まではしていないので、水門部と本川ではあまり水位差が無く、一方で②の状況の際にはそれなりの水位差があるものと考えています。

        ⇒ご回答ありがとうございます。①と②の各状況で水位差がかなりあるとのこと、了解です。

        >何らかビジュアルに見て頂ける形のアウトプットを出して、見て頂けるようにしたいと思います。

        ⇒お手数をおかけします。本川と水門位置のハイドロを重ね合わせたグラフでも大丈夫ですので、よろしくお願いいたします。

        1. 安田 吾郎 より:

          鈴田様、資料p14の①(水位上昇時)と②(水位下降時)で、水門の位置での水位は同じでも本線水位には差があるのではないか、とのご質問に対応して以下のURLに資料を載せましたのでご参照頂ければと思います。
          https://youtu.be/llhMS1gEiN0

          IHIの方ですぐに載せられるサイトがYouTubeだったので、便宜上動画としてアップしていますが、本来はJPG等1枚の静止画で済む内容です。

          内容について少し補足します。
          水位の色分け表示は、水門地点(黄色の旗揚げをしているポイント)をゼロ点とした相対表示にしています。
          注意が必要なのは、恵利堰で発生する跳水の影響で、周期2分程度の大きな波動が発生している(これは実現象を現したものではなく、モデル上の上流端で乱れの無い平滑な流量を与えていることに起因)ため、本川の水位が場所により高くなっていたり(赤色)、低くなっていたり(青色)、時間によりその色分けも遷移することです。従って、本川の縦断的な色分けについては、無視いただければと思います。
          一方で、新桂川水門の直下の部分を見ていただくと、①の場合(桂川は速度が小さい順流)だと、水位が水門部より高くなっている状況を見ていただけると思います。一方で、②の場合(吸出し効果で桂川からの流量大)だと水門部と同程度か幾分低いぐらいの高さになっています。①の場合で順流ながら水位は下流の方が高いのが興味深いところです。縮小断面になっている水門部を通り抜け、流速が減ったところで、それが位置エネルギーになったとみることができるかと思っています。なお、実観測でも、順流と操作人が判断している状況下で、このような内外水位の逆転が生じています。本来は恵利堰起源の振動の影響を除去したもので議論するのがよいところですが、とりあえずのアウトプットで失礼します。

          1. 鈴田 裕三 より:

            安田様 貴重なデータをご提示いただきましてありがとうございました。①のケースでは全エネルギー水頭で考えると確かに水門下流側の水位上昇がうまく説明できますね。一方、②のケースでは本川側の水位が低いため水門通過後の流速が減衰せず、水位も水平か緩やかな順勾配になるということでしょうか。大変興味深い現象をわかりやすく見せていただき、勉強になりました!

          2. 安田 吾郎 より:

            鈴田様
            >①のケースでは全エネルギー水頭で考えると確かに水門下流側の水位上昇がうまく説明できますね。
            →その通りと思います。
            >一方、②のケースでは本川側の水位が低いため水門通過後の流速が減衰せず、水位も水平か緩やかな順勾配になるということでしょうか。
            →②のケースでは、桂川の流量は「吸い出し効果」により大きくなっている状況ですので、それだけを考えれば水門地点よりも、その下流のの方が水位は低くなっても良いところですが、一方で、狭い水門断面よりも下流の方が広く、下流の方が水位が上がりやすくなる効果も働き、以上の2つの作用がキャンセルアウトした結果が現れているかなと思っております。

    2. 安田 吾郎 より:

      鈴田様の2番目のコメントに対する返信です。
      「p.15の逆流開始時点でH24とR2では流況が大きく異なっていますが、要因として挙げられている「渦の規模の違い」は主に何が影響するのでしょうか」というご質問ですが、今時点で明確な答えは持ち合わせておりません。渦の出来方に影響する要因としては、河道形状、筑後川本川の水位及びその時間微分値(特に水位上昇時と下降時でおそらく相違大)、桂川の水位・流量等あります。それらの要因の微妙な違いにより渦の出来方も変わり、H24、R2のいずれの動画をご覧頂いても、渦が安定せず遷移する状況をご確認頂けるかと思います。P15の資料だと、R2洪水の渦の方が規模が大きく見えますが、今のところは「逆流開始前後の時間ではたまたまそうだった」という以上のご説明ができません。前記の渦の出来方に関係する要因のパラメータを変化させてみたり、渦の出来方を分類し、前記パラメータとの関係で整理・分析したりすると、もう少し見えてくるかもしれません。なお、「水門の遠隔操作に必要な流速・流向情報を得る方法を見いだす」という実務的目標との関連で言えば、今のところは「様々なパターンの渦が生じ得ることを前提とした観測方法を見いだす」ことが課題となっている状況です。

      1. 鈴田 裕三 より:

        安田様 こちらのご回答もありがとうございます。

        >「水門の遠隔操作に必要な流速・流向情報を得る方法を見いだす」という実務的目標との関連で言えば、今のところは「様々なパターンの渦が生じ得ることを前提とした観測方法を見いだす」ことが課題となっている状況です。

        水門の遠隔操作を実現するのが主目的で、そのための流況把握という趣旨を理解しました。現場で操作員の流況判断が困難な状況でも、様々なパターンの渦が生じる流況を予め整理しておき、適切な方法(センサー等)で計測できれば確かに水門操作の自動化に近づくと思いました。なお、資料p.19には「逆流終了と同時に水門を再開すれば流下したはずの流量」が提示されていますが、一点追加質問させてください。水門操作の規則は内外水位の差のみによるのでしょうか?本川水位が危険水位等を超えるような場合には本川を守る目的で閉鎖(支川からの流入をブロック)する場合もあるのではないかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?

        1. 安田 吾郎 より:

          鈴田さん,質問頂き有難うございます。以下,インラインでお答えします。
          >水門操作の規則は内外水位の差のみによるのでしょうか?
          →水門を閉める判断をする際には,一般に内外水位差は操作規則上の位置づけがありません。すなわち,内外水位差は流向を判断する際の参考データではありますが,「参考」以上のものではありません。
          →一方,閉鎖された水門を開ける判断をする際には,内外水位差を基準とする(内水位が高くなったら開ける)場合が多くあります。
          >本川水位が危険水位等を超えるような場合には本川を守る目的で閉鎖(支川からの流入をブロック)する場合もあるのではないかと思います。
          →その通りです。操作員が避難する場合には,「全閉」にすることを規定している水門は多くあります。

          1. 鈴田 裕三 より:

            安田様 ご丁寧に回答いただきましてありがとうございます。大変勉強になりました!

    3. 安田 吾郎 より:

      鈴田様の3番目の質問に対する回答です。
      「GELATO動画は水の堰上げ効果がリアルに表現されていて現象を理解しやすいと感じました。これは流速ベクトル図からデータを変換(なんらかの補完)することで作成可能なのでしょうか」というご質問ですが、iRIC Cabernet2D(あるいはNays2DH等他のソルバーでも何でも良いのですが)のアウトプットである時間的変化も含めた流速分布データがあれば、後は漂流物体の発生点や発生時間間隔と、その物体の物理特性を与えればすぐにできます。今回は、新桂川水門断面のところで、横一列にいくつかの発生点を設け、鉄砲玉が飛び出すような感じにしてみました。全体として順流のときでも逆流するタマがあればそれがわかりやすく示されますし、コメント頂いたように直感的に分かりやすい結果も得られるので有用なツールと思っています。なお、今回の河川技術シンポジウムでは、豊平川の床止めを対象としたGELATOを使った濱木さんらによる発表もありますので、合わせて見て頂くと良さそうですね。

      1. 朝日航洋・鈴田 裕三 より:

        3つの質問に丁寧にご回答いただきましてありがとうございます。内容を確認させていただきます。とりいそぎ、御礼まで

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