動力学的モデルに基づく洪水時における避難開始人数の時間分布に及ぼす地域特性係数の影響に関する考察 2025年6月13日 最終更新日時 : 2025年6月13日 武内 慶了 著者 武内 慶了/国土技術政策総合研究所 山田 朋人/北海道大学大学院 説明資料 【ポスター】避難動力学@2025河川シンポ(141%印刷)_002_250613ディスカッションサイトにアップダウンロード
p’に影響のある要因として、世帯数のほかに何が見込めるでしょうか。ありきたりですが、地域のコミュニティの強さとか、世帯構成(例えば一人暮らしが少ないとか)、リーダーシップをとる方がいる、などがあるように思いましたが、教えていただけますと幸いです。
伊藤英恵様、興味をもってくださりありがとうございます。
上記ポスターの中央列に、「係数p’の意味と効果」を示しています。この中でp’は「ある住民の避難開始行動に伴い、周囲の残る住民のうち何人が避難開始するようになるのか」という期待値の意味が含まれることを指摘しています。そしてこのp’には、「1人の避難開始行動が周囲に作用する人数:Na」と、「作用を受けた人が避難開始する確率Pc」が含まれることを示しています。
本研究ではこのうち、Naに着目しました。ご指摘の地域コミュニティの強さ等といった要因については、Pcの増大効果があると考えています(従ってp’が大きくなる方向に作用する)。
統計的分析により、ご指摘の内容が、避難の意思決定に関する一要因となっていることを指摘する個別事例があるようですが、具体にどのような効果が表れるのかについては、十分な解釈がなされていないように見受けられます。本研究のベースとなっている“避難開始行動の動力学的解釈”により、効果の表れ方についてもう一歩解釈を深めることができたのではないかと考えているところです。
また、ご指摘の要因は、相手(情報の与え手)の信憑性や信頼度、対面の接触といった、周囲の方々とのつながり方が共通のキーワードとなっているように理解します。これら要因が、情報の受け手の意思決定に与える効果については、避難の局面に限らず、社会心理学(説得研究)や言語学(語用論)でもその有効性が指摘されています。このことは、日常的場面であっても避難といった危機的場面であっても、情報の受け手(避難を意思決定する人)の意思を変える要因に大きな違いがないように理解され、興味深い点ですね。←理解が間違えていれば是非ご指摘ください。
以上の応答に不足や誤認等がありましたら、改めてご連絡をいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
ご丁寧にご回答いただき大変ありがとうございます。承知いたしました。
このような研究が、今後リスクコミュニケーション等でどのような結びつきをつくっていくのが良いのか、ソフト的なまちづくりにも役立っていくと興味深いな、と感じております。
どうぞよろしくお願いいたします。
伊藤様、返信ありがとうございます。
p'に含まれるPcの増大策については、ごくごく簡単ではありますが、本論文(4章最後段落、5章)でも触れています。
よろしければご参考ください。