連続する固定堰の撤去が周辺河床の変動に及ぼす影響 2025年6月18日 最終更新日時 : 2025年6月18日 難波 媛香 著者 三輪 浩/鳥取大学教授 学術研究院工学系部門 難波媛香/鳥取大学大学院持続性社会創生科学研究科 和田孝志/鳥取大学准教授 学術研究院工学系部門 梶川勇樹/鳥取大学准教授 学術研究院工学系部門 説明資料 河川技術シンポジウム2025ポスターダウンロード
土木研究所の小関と申します。
貴重な検討成果を拝見しました。
上流側の堰から撤去することは選択肢として考えられるでしょうか。
上流側から撤去することについて、もし実験、解析されていれば、どのような特徴があるか、教えて頂けると幸いです。実験、解析されていなくても、今回の検討を通して、どのようなことが起こりそうかコメントを頂けると幸いです。
ご質問ありがとうございます。また,返信が遅れまして申し訳ありません。
堰の撤去は下流側から行うことは国交省事務所の担当者から伺いました。このため,本研究においてもこれに従った扱いを行ったもので,上流側からの撤去は検討しておりません。
ただ,本研究を実施する中で堰撤去後の河床変動の規模や影響範囲が撤去順によって異なることが判明しましたので,治水上相対的に有利な状況を生み出すのであれば,上流側からの撤去も検討の価値はあると考えます。
さて,本論文で設定した実験の範囲で上流側の堰を先に撤去した場合には,以下のような状況が予想されます。
1.Type A(上流側堰B(堰高小),下流側堰A(堰高大))の場合
上流側の堰撤去による下流への影響は小さく(論文中,Type Bの個別撤去における下流側堰撤去の結果参照),下流側の堰撤去との相互の影響は弱いと推察されます。結果として同時撤去と同程度の河床変動となると考えられます。
2.Type B(上流側堰A(堰高大),下流側堰B(堰高小))の場合
上流側堰撤去による河床の一様化により河床勾配は増加します。この状態で下流側の堰を撤去すると,下流の堰を先に撤去した場合(論文中,Type Bの個別撤去における下流側堰撤去)よりも土砂量は増加すると考えられ,結果として下流側堰より下流の河床変動は大きくなると推察されます。その結果,同時撤去に近い状況(ただし,上記1の場合よりは影響は小さい)となると考えられます。
以上をまとめると,上流側の堰を先に撤去した場合はいずれのタイプでも同時撤去に近い結果となるのではと推察します。
計算は可能なので,今後検討したいと思います。
貴重なご意見に感謝いたします。
ありがとうございました。
難波,三輪
難波様
ご回答ありがとうございました。
また、こちらの返信が遅くなり申し訳ありません。
私自身は業務で堰撤去に携わった経験が無いため、どの撤去方法が良いのか判断が付いていない状況で質問いたしました。事務所の方も含めて検討されている中で、突拍子もないコメントとなり恐縮です。
上流側撤去後の想定についても、よく分かりました。
構造物の安定性や縦断水位など考慮すべき項目が多いため、絶対的ではなく相対的に良い方法を選定することになるのだと想像しています。
ありがとうございました。
小関
撤去手順については事務所から伺って決めたものですが,それもこれまでの実績に基づいたものと理解しています。
しかし,先にも書きましたが,上流からの撤去が有利な状況を生み出す可能性があれば,そのような対応は十分に意味のあるものと考えます。
したがって,小関さまのご質問は結果的に十分検討に値するものと考えています。
ありがとうございました。
なお,本研究は今後も継続予定です。
成果は順次発表する予定ですので,機会がございましたらご意見等いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
難波,三輪