河川氾濫による農地土壌流亡の現象解明に向けた事例分析と水理実験

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  • 神原柚乃/寒地土木研究所
  • 島田友典/寒地土木研究所
  • 前田俊一/寒地土木研究所
  • 堀田信之/寒地土木研究所

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河川氾濫による農地土壌流亡の現象解明に向けた事例分析と水理実験” に対して4件のコメントがあります。

  1. 柏田 仁 より:

    実験当日,見学させて頂きました.
    実験条件に関してお伺いしたいです.堤防越流実験に付随して実施するという条件のため,制約された環境下での実験であったと理解していますが,農地を建物周辺の影響範囲内に置いたのはなぜでしょうか?建物周辺の局所洗掘が影響を及ぼしているように見えます.流亡の実績でも建物影響が確認されているのでしょうか?

    1. 神原 柚乃 より:

      寒地土木研究所の神原です。コメント、実験見学いただきありがとうございます。
      農地を家屋の隣に設置した理由は、そういった被災事例があったというわけではなく、本実験においてある程度の水深・流速を確保する必要があったためです。
      家屋(別検討用)の隣に配置することで、農地部分に流れが集中し、水深・流速の増大が期待できると考えました。これ以上前方への設置は、堤防越流実験による落堀の影響が懸念されたため、避けました。
      ご指摘のとおり、建物の影響を完全に排除することはできませんが、論文集 p.293 の図10に示すように、今回分析対象とした黄緑色の枠で囲んだ農地範囲内では、おおむね直線的な流れが確認されており、建物による大きな影響は受けていないと考えています。

      1. 柏田 仁 より:

        上記ご回答,ご発表ともにありがとうございました.
        筋状の洗掘がなぜ起きるのか?がとても気になりました.
        今回の実験では概ね一様な洗掘が生じており,なにか実際の現象とは条件が異なるのだろうと推察します.
        農地の状況としては作物と畝の存在,加えて上流から供給される礫が非一様な洗掘の発生要因になり得るように思われます.作物の存在がない状態が最も流水に対して弱い状態であるという仮説に立っているとのことでしたが,洗掘形態の解明においては作物影響の評価が不可避のように感じられました.実際の流亡事例の際の作物,畝の状況等の分析がなされていたら是非ご教示頂けますと幸いです.

        1. 神原 柚乃 より:

          筋状の侵食は、リル侵食やガリ侵食に相当するものであると考えています。特に流量が小さい条件下では、降雨による土壌流亡(農学分野で研究事例多数)と同様に、農地表面にリルやガリが形成され、筋状の侵食形態が現れるものと思われます。
          一方で、流量が大きくなると、面状の侵食に移行するようです。ただし、このような侵食形態の移行条件については現在検討中です。(何かご知見あればご教示いただきたいです)

          また、実際の流亡事例における作物や畝の状況については、詳細については今後聞き取り調査等により把握する予定ですが、
          現時点では被災写真や報告書等から、堤防決壊箇所の近傍では流れが非常に激しく、畝の方向に関係なく農地が侵食された様子を確認しています。
          なお、農学分野の既往研究においては、畝を等高線に沿って配置すること、圃場の透水性を高めること、作物を栽培することなどにより、土壌流亡量が低減されるといった報告があります。したがって、流量が小さい条件下では作物や畝の配置が一定の効果を持つのではないかと思います。

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