ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia L.)の根萌芽抑制を目的とした各種工法の比較―転圧による形成層破壊の可能性について―

著者

  • 大石哲也/(国研)寒地土木研究所寒地河川チーム
  • 今村雄一/旭川開発建設部旭川河川事務所計画課(現所属:札幌開発建設部雨竜川ダム建設事務所)
  • 山中直樹/留萌開発建設部治水課
  • 布川雅典/(国研)寒地土木研究所水環境保全チーム (現所属:吉備国際大学農学部海洋水産生物学科)
  • 井部巧実/旭川開発建設部旭川河川事務所計画課
  • 今村仁紀/旭川開発建設部旭川河川事務所計画課

説明資料

ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia L.)の根萌芽抑制を目的とした各種工法の比較―転圧による形成層破壊の可能性について―” に対して9件のコメントがあります。

  1. 菊地敦司_福田水文センター より:

    大変興味深く拝見させて頂きました。2点ほど質問よろしいでしょうか。

    質問1
    転圧により形成層が破壊されない部分が少なからず残ると想像されますが、直接ダメージがなかった部分もストレスによって形成層が不活性化して萌芽が抑制された可能性があると理解してよろしいでしょうか。

    質問2
    整備費の比較ですが、試験区Aの伐採・除根のみを1に対し、追加作業を行った試験区C~Eが1.1~2.0となっておりますが、追加作業で搔き起こし、転圧、整地した場合もう少しコストがかさむと現場感覚的に感じました。搔き起こし、転圧、整地作業の整備費に対する割合はどの程度かお教え頂けますでしょうか。

    こちらの理解不足である部分もあるかと思いますが、ご回答頂ければ幸いです。

    1. 大石 哲也 より:

      ご質問ありがとうございます。

      質問1 形成層が不活性化
       この点については、どの程度の破壊が枯死に繋がるかはよくわかりませんので、殴打の程度による再生についての検討余地はあるかと思います。
       細胞間での栄養物質交換の阻害により、萌芽に必要なエネルギー供給が断たれる程度であったり、一定程度のストレスがかかるのでホルモン作用等の問題もあるかと思います。
       幹の場合でも環状剥皮が十分でないときは再生しますので、根もシステムとしては同じと捉えています。
      質問2 整備費の比較
       直工費で計算しています。Aにおいても除根の際にバックホウを使っています。したがって、Dは20cmの厚さで24cm2区画をすきとり、転圧をかける作業として計算してます。

  2. 田島 憲一 より:

    河川財団田島と申します
    興味深く拝聴しました
    以前、寒地土木の論文でハリエンジュの伐採時期として夏場が有効であることを言及していらしたと記憶しております
    今回の論文では、冬場の工事で転圧することの有効性を報告されていますが、以前の伐採のみでは対策が不十分ということで、今回の試行を進めているという認識でよろしいでしょうか?
    また、今後の検討とのお話でしたが、使用する重機の規模(重量)や転圧回数(出来形としての接地圧)などについて、考察あるいは今後の展開などありましたらご教示ください
    よろしくお願いいたします

    1. 大石 哲也 より:

      ご質問ありがとうございます。
      はい、伐採だけでは対策が不十分だと思います。
       多くの検討例からハリエンジュの伐採による枯死の期待は低く、どの時期に伐採したとしても再生は可能と思われます。一般に、どの樹種も樹体内の栄養枯渇期(例えば、葉の展葉時期、幹や枝の伸長時期)には、伐採後の再生能力は落ちます。この効果によって枯死する植物もありますが、ハリエンジュの場合は成長戦略として水平根に再生できるだけのエネルギーを貯めているようです。今回は、その水平根のエネルギーを利用する形成層を破壊して、時期によらず枯死に至らせようと試みたものです。
       今回は0.14tクラスの小型の重機でしたので、それよりも小さくなければ良いかと思います。転圧回数は検討の余地がありますが、回数が増えれば形成層に与える影響も増えます。効率化という観点では、まだ課題があると思っておりますので、改めて検討を進めていければ良いかと思っております。

      1. 田島 憲一 より:

        ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございます
        関東においてもハリエンジュ駆除は、大きな課題の一つです
        以前、利根川流域において切り株の切削処理を現地試験しましたが、やはり水平根からの萌芽で効果は得られませんでした
        また、質問させていただいた夏季伐採は効果が見込まれた場合でも関東などでは、労働環境的に推奨されません
        現時点で、関東地整では伐根が維持工事で実施されないため、効果的な駆除方法が見いだせない状況です
        一方で初夏の開花時期には、一部地域においてアカシアはちみつの需要があり、残存要望も少なくありません
        有効な工法で必要な個所に対応していけるよう、今後の研究成果にも期待しております
        よろしくお願いいたします

        1. 大石 哲也 より:

          今回の方法は、困っている河川での対応なので、適材適所があろうかと思います。
          論文中には、関東の事例もご紹介させていいただいておりますので、ぜひ本論をご参照いただければと思います。

          1. 田島 憲一 より:

            ありがとうございます
            いろいろと参考にさせていただきます
            今後とも、よろしくお願いいたします

  3. 菊地敦司_福田水文センター より:

    ご回答頂きありがとうございます。この度は大変勉強させて頂きました。
    ハリエンジュ対策は全国的にも注目される問題ですので今後の研究も期待しております。

    1. 大石 哲也 より:

      ありがとうございます。

コメントは受け付けていません。