流域内河川濁質流出のモデル化と粒子フィルタによる濁度予測

著者

  • 中澤 麗稀/岐阜大学大学院自然科学技術研究科
  • 范 顔楊/元岐阜大学大学院生
  • 川口 智也/(株)日水コン中央研究所
  • 吉村 英人/岐阜大学工学部社会基盤工学科
  • 篠田 成郎/岐阜大学工学部社会基盤工学科

説明資料

流域内河川濁質流出のモデル化と粒子フィルタによる濁度予測” に対して5件のコメントがあります。

  1. 太田 一行 より:

    電力中央研究所の太田と申します.
    大変興味深く拝見させていただきました.

    データ同化の知識が乏しく恐れ入りますが,2つ質問させてください.

    1. 今回のデータでは,3つの層について水・土粒子の流出に関する係数(k, α, β, γ)を同定しており,計12個のパラメータ同定をされていると理解しました.12個ものパラメータを最適化するには,かなり時間を要するイメージもあるのですが,データ同化ではこのように多数のパラメータ同定も容易なのでしょうか.

    2.取水設備の運用に実用する際には,データ同化は必要なく,本研究で同定されたパラメータ同定を用いた流出解析をすれば良いだけでしょうか(あるいは,常にデータ同化の作業が必要になるのでしょうか).

    以上です.
    どうぞよろしくお願いします.

  2. 中澤 麗稀 より:

    太田様

    コメントありがとうございます.
    以下、ご質問に対して回答させていただきます.

    1.逐次型データ同化の粒子フィルタでは,粒子化の対象とする状態(本研究における同定パラメータ)について,システムノイズを考慮することで状態に含まれる不確実性を確率分布として表現しています.粒子フィルタの適用に際しては,粒子化対象が多いと計算が不安定となるため,一般的にはできるだけ不確実性の大きな状態量を対象とします.本研究では,A層での降雨流出に係る𝛼_AHおよび畑地での濁質流出を表す𝛽_Af+と𝛾_Afは降雨の時間変化の影響を受けやすく,大きな不確実性を含むと考えられます.また,降雨分布を表すレーダー雨量も大きな推定誤差を有します.以上のことから,降雨流出モデルにおいて係数kおよび𝛼_AHの2個を,濁質流出モデルにおいて係数𝛽_Afおよび𝛾_Afの2個を同定対象といたしました.
     粒子フィルタでの同定対象としないパラメータについては、時間的に大きく変化するわけではないことから、事前に非逐次型データ同化のMCMC法を用いて予め同定し、時空間的に一定な値として与えました。

    2.濁質流出現象は不確実性が大きいため,運用に用いる場合には粒子フィルタによる逐次同定(逐次修正)を用いた流出解析が有効だと考えています.本研究では,粒子フィルタによって流出モデルに含まれる誤差(ノイズ)を考慮し,パラメータを逐次同定することで推定精度が向上しました.

    よろしくお願いいたします.

    1. 太田 一行 より:

      中澤様

      大変分かりやすく解説いただき,ありがとうございます。
      理解いたしました。

      申し訳ありません,もう一つお教えいただきたいのですが,
      今回のご研究では濁度のヒステリシス効果を計算できております.
      この理由は,逐次のデータ同定によって増水期と減水期の流出特性を考慮できたためでしょうか?(あるいは,分布型流出モデルを用いたためでしょうか)

  3. 中澤 麗稀 より:

    太田様

    ヒステリシスを表現できた理由は次の2つになります.

    1. 濁質流出モデルによる流出成分考慮
     本研究で用いた濁質流出モデルは,各サブ流域を上からA層,B層,C層に分け,3つの流出成分を仮定し,それぞれの流出成分に対してLQ式を適用しました.このように流出成分を分離することで,全体の流量Qに対して濁度Cや負荷量Lが一意的に定まらなくなります.

    2. 粒子フィルタによる流出パラメータの時間変化考慮

    よろしくお願いいたします.

    1. 太田 一行 より:

      中澤様

      ありがとうございます.理解致しました.
      大変有用な技術ですので,今後のご研究の発展を期待しております.

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