The symposium about river engineering, 2022

堤防法面補強土材の配合設計と現地適用実験

コメント (2)
  1. 福島 雅紀 より:

    堤防の応急復旧技術、越水に対して粘り強い技術はどちらも重要なテーマと思います。以下、2点について、教えてください。
    1.こうした技術の現地適用性を確認していただいておりますが、課題として残されている堤体沈下時の法面補強土材の追随性、表面に植生が繁茂した場合の根の影響等によって、補強材に亀裂等が生じることが想定され、維持管理の観点で同様に確認すべき事項と考えております。これらの対策やその見通しは立っておられますでしょうか。また、こうした亀裂が生じた場合、耐侵食性能はどの程度低下するでしょうか。
    2.堤防天端は道路として利用される場合が多く、定期的に天端舗装をやり直します。また、堤体内には光ファイバーが敷設されており、一部の開削して機器のメンテを行うこともあります。こうした場合に、一部の補強材を取り除き、その後の再設置は容易に行えるものでしょうか。また、その耐侵食性能に変化は生じますでしょうか。

    1. 大熊 広樹 より:

      福島様
      ご質問いただきましてありがとうございます。以下それぞれの解答になります。

      1.堤体全体の沈下に対する補強土の追随性については、今後、弊社所有の遠心力載荷試験により検証する予定です。本材料は弊社が長らく開発してきた管理型海面処分場に用いられる「浚渫土等を主材とした変形追随性遮水材」と同等の品質であるため、現時点では、上記材料実績として、5%程度のひずみに対して、ひび割れすることなく追随することが可能と想定しています。ただし局部的な空隙に対しての追随性は、必要に応じて、本材料の撤去・再設置にて対応することとなると考えています。
      植生に関しては、長期強度試験と同様に、400日以上(現時点で1年9カ月)の屋外環境での観察をしていますが、雑草の繁茂はしていません。植生が必要な場合は、シート被覆工法の場合と同様に、本材料の上に覆土をすることでの対応を想定しています。この場合、本材料には根が入らないのでひび割れ要因とはなりにくいと考えています。
      以上2点のご指摘については、今後も知見を増やした研究をしていく予定です。

      2.本材料はバックホウ等の重機で掘削撤去することが可能な強度設定をしています。また再設置も可能です。ただし、現時点で新旧の打ち継ぎ目地部での耐侵食性能については、検証できていませんので、今後予定したいと思います。