The symposium about river engineering, 2022

ダム湖内魚類相を効率的に捉えるための環境DNA調査方法に関する検討

著者

村岡 敬子1,天羽 淳2,菅野 一輝1,篠原 隆佑1,中村 圭吾3

1.国立研究開発法人土木研究所 流域水環境研究グループ,2.国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課,3.国立研究開発法人土木研究所 水環境研究グループ

説明資料

コメント (2)
  1. 信田 智 より:

    環境DNA調査を行う際の調査方法の課題について整理されており、今後の水国調査の指針改定の際に取り入れる価値がある内容と感じました。今後のアプローチとしては、ダムにおける採捕調査の課題も整理した上で、①採捕調査での課題をクリアするDNA調査の方策、②採捕調査からDNA調査にすることで新たに発生する課題をクリアする方策、の両面での検討を進めていくことが効率性の向上につながると考えます。

    1. 村岡 敬子 より:

      コメントいただきありがとうございます。
      ダム湖の採捕調査では、調査範囲がアクセスのしやすさ(特に湖岸)や調査用具の規模(面的および水深方向)の制約があるため、必ずしもダム湖内の魚類相をとらえきれていない実情があると思います。今回の整理により、地区を基本とした採水調査では、環境DNAでもとらえきれない魚類がいることがわかりましたが、水国の枠組にとらわれず、採水場所や時期、時間帯などを工夫することで、ダム湖内の魚類相を捉えられる可能性が見えてきました。一方で、環境DNAの情報からは、”その魚類がどんな環境にいたのか”や、”再生産”の情報を得ることが難しい課題があります。ただ、河川と比べ拡散範囲の少ないダム湖では、湖岸部では河川よりもその範囲を絞り込めると推測しています。湖心方向に異なる水温に呼応して魚類が分布することや、湖内流動の影響など、まだ事例を増やしながら整理していく必要があると考えております。よろしくお願いいたします。