The symposium about river engineering, 2022

河道植生の中長期消長過程を簡易に考慮した平面二次元河床変動解析モデルの開発・検証

著者

井上 敏也1,吉武 央気1,周 月霞1,南 まさし1,旭 一岳2,浜口 憲一郎1,松田 浩一1,宮本 仁志3

1.パシフィックコンサルタンツ株式会社,2.株式会社RiverLink,3.芝浦工業大学 工学部土木工学科 教授

説明資料

コメント (5)
  1. 内田 龍彦 より:

    植生の消長を考慮した解析が行えるようになってきており,興味深く拝見しました.植生の成長は時間的に長いスケールですので,直感的には長い解析区間で検討するかと思いましたが,解析区間はかなり短いように感じました.このような検討において,境界条件や解析区間の長さはどのように考えればよろしいでしょうか?また,河道形状がほとんど変わらないような小出水以下の期間(成長が支配的?)と,河道形状が大きく変わり,消失を含む大出水でも重要な点は変わってくるように思いました.植生を考慮した解析法を検証するための注意点と課題について,本研究あるいはこれまでに得られている知見についても教えていただけると幸いです.

    1. 井上 敏也 より:

      コメントを頂きありがとうございます。パシフィックコンサルタンツの井上と申します。
      ・本研究の解析区間は現地調査が2015年10月~2019年12月にかけて毎年行われていた73k~78kの約5km区間で約4年間としました。
      開発したモデルでは、植生消長の部分は干上がり日数や経過日数、掃流力・河床変動量を用いて評価しているため、解析区間の範囲については特に条件はないものと考えております。
      一方で解析対象期間としては、今回は現地調査結果の検証であるため4年程度で実施しておりますが、実務として将来予測をしていく上では河道の安定性評価のために長いもので数10年程度実施することも考えられます。

      ・開発したモデルを活用していく上では、植生消長条件を設定するために、対象とする現地の流量(インパクト)と植生の変化(レスポンス)を分析することが必要となります。分析にあたっての植生の変化は、1年ごと等ある程度密なデータが必要なのは課題と考えられますが、近年は解像度の高い衛星写真等もありますので以前よりハードルは下がっていると認識しています。ただし、植生の高さについては精緻な情報がないことは課題です。
      また、開発したモデルでは洪水中の草本の倒伏等植生消長において考慮できていない現象があります。これらについてどこまで考慮する必要があるのか、実務で活用するにあたっての計算負荷はどうなるのかを天秤にかけながら検討していくことは今後の課題です。

  2. 内田 龍彦 より:

    ご回答ありがとうございます.長期間の河床変動解析の場合,内部の解析結果は境界条件によって決まってしまうための質問でした.分かりにくかったようですみません.再現解析ベースであっても,境界の断面形状や助走区間の河道の平面形状さらには流速分布を考慮すれば,植生による粗度分布の影響を上流端流入条件が受けてしまいます.予測する際には上流端境界条件の時間変化も予測しないといけなくなるため,基本的には長い区間に設定しないといけないという話になるのではという知るもんでした.後半についてのご説明,ありがとうございました.植生モデルが進展することを期待しています.

    1. 井上 敏也 より:

      意図を読み切れておらず申し訳ありません。
      砂州の移動区間であれば、上流から砂州が下流に移動してくるに伴い、下流の砂州の移動に影響してきますので、ご指摘の通りある程度の区間が必要です。
      どこまで必要かは今後の検討課題ですが、堰等の横断工作物等上流からの砂州移動の縁が切れる地点や、洪水時でも河道断面形状の変化が小さい場所を境界とするのが望ましいのではないかと考えております。

      1. 内田 龍彦 より:

        ご回答ありがとうございました.そのような検証のための区間の設定も有効と思います.