降雨継続時間を考慮した長時間アンサンブル降雨予測活用方法の検討 2026年6月15日 最終更新日時 : 2026年6月15日 道広 有理 道広有理/日本気象協会 著者氏名/所属 説明資料 260619発表資料_道広ダウンロード
室蘭工大の中津川です。ご発表ありがとうございます。
図-2の岩瀬ダムの例を見ると実績が予測を上回る例が多いように見えます。
治水安全を考えるなら見逃し率(表-7にある指標以外に予測が基準以下で実績が基準以上=c/(c+d))を示すべきではないでしょうか?もし算出されているならば各ダムでどの程度となっているでしょうか?
また、一致率は空振り率(予測が基準以上で実績が基準以下)を意味すると思いますが、利水安全の観点では向上するのは必ずしもよいとは言えないのではないでしょうか?流域総合水管理やハイブリッドダムなど治水だけでなく利水の価値向上を図る場合の予測の評価という点からもコメントいただけると幸いです。
質問ありがとうございます。
ご指摘の通り、特に九州や四国では上位予測を使っても実測を下回る予測が出現します。
一般に見逃率はc/a+cで定義されると思います。 ※dは予測も実測も基準以下です
見逃率=(1 - 捕捉率)になります。
100%に近い方が精度がよい、という形にしたかったので捕捉率を使っていますが、議論としては同じと考えています。
同様に 空振率=(1 - 一致率) です。100%に近い方が精度良好です。
今回は、大雨を早期に検知する、ということを主眼に分析したため、上位の予測に着目しました。
利水リスクという観点ですと下位予測も重要になってくると認識しています。
回復にも着目した分析は、以下などをご参考ください。
木谷ら:長時間アンサンブル降雨予測による事前放流の早期開始判断と回復可能性の検証, 河川技術論文集, 第29巻, pp.497-502, 2023.
気象工学研究所の柴川です。
九州ダムの予測精度が低いのは、ECMWFアンサンブルをダウンスケーリングする前の段階ですでに精度が低いためでしょうか。
質問ありがとうございます。
九州など、短時間強雨が発生しやすい地域は、精度が相対的に悪い傾向にあります。
併記しているガイダンス予測の精度も相対的にやや悪く、数値予報の課題と考えています。
なお、ご指摘の通り、ダウンスケーリングは時空間高解像度化するものなので、大元(ECMWF)の
予測精度に依存します。
JPDの金子と申します。ご発表ありがとうございました。
九州地方の精度の課題に対して、長時間アンサンブル降雨予測や気象庁GEPSは改善の動きはあるのでしょうか。
精度向上に向けては、使い方で工夫する必要がある状態なのか、
道広様にお伺いするのも筋が違うのですが、もしご存じでしたらお教えいただけないでしょうか。
質問ありがとうございます。
九州は局地的な大雨が多いことが、予測精度が相対的に低い要因の一つだと思われます。
気象庁GEPSは2022年3月に高解像度化(0.5625度→0.375度)しています。
ECMWFのアンサンブルも徐々に高解像度化されており、現在は0.1度の解像度です。
高解像度化することで局地的な現象を表現できるようになってきていますが、
線状降水帯のような数十~数kmスケールの予測は、まだまだ難しいと思います。
線状降水帯に対しては、気象庁がLFMを使った2km格子のアンサンブルを
2026年3月から運用開始しています。ただし予測時間長は21時間です。
モデルの高解像度化が精度に直結する保証はありませんが、精度改善の試みは継続的に行われています。
道広様
ご回答下さり、ありがとうございます。
線状降水帯などに現行の予測モデルでどのように対応していくか、悩ましいと思っておりましたがLFMのアンサンブル情報に着目して精度を確認するようにいたします。
ありがとうございました。