河川氾濫と内水浸水の相互作用に着目した地域の浸水特性把握 2026年6月17日 最終更新日時 : 2026年6月17日 中村 賢人 著者 中村賢人/国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部水害研究室 湯浅亮/国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部水害研究室 坂本裕之/元 高知県土木部河川課 川井翼/八千代エンジニヤリング株式会社河川部 大村拓/八千代エンジニヤリング株式会社河川部 江上大介/八千代エンジニヤリング株式会社河川部 武内慶了/国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部水害研究室 説明資料 ポスター_内外水一体ダウンロード
エアロトヨタ(株)の鈴田と申します。地形や内外水の発生メカニズムを考慮し、詳細な分析をされているのは重要な取り組みと思います。以下について教えていただければ幸いです。
(質問1)
2.内外水一体型氾濫解析モデル
中段右の図の注釈に「実績浸水範囲として表示している範囲が、実際の浸水範囲を網羅していない可能性」とありますが、「モデル化対象外としたφ300未満の下水道の存在を確認」のところは、逆に実績の方が正しく、再現計算の方が過剰である可能性があるという理解でよろしいでしょうか?
つまり、①再現計算の方が優位な部分と、②実績の方が優位の両方があるので注意が必要ということかと思います。
(質問2)
4.減災対策が浸水深分布へ与える~
エリア6で下水排水量が低下し、浸水量が増加しているのは、排出先河川の水位上昇により、下水排水量が低下したことによるものでしょうか?
(質問3)
本研究においては、降雨シナリオを設定していますが、4.の検討はシナリオ1~3のどのパターンによるものでしょうか?また、降雨は空間的な分布なしで一様の雨を設定しているのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。
エアロトヨタ株式会社 鈴田さま
お世話になっております。国土技術政策総合研究所の中村と申します。ポスターをご覧くださり誠にありがとうございます。また、重要な取り組みとお褒めのお言葉を賜り、大変嬉しく思います。
ご質問につきまして下記の通り回答させてください。
(ご質問1)について
ご記載いただきました通りでございます。
(ご質問2)について
下記の内外水の相互作用によるものと考えております。
①森林の宅地化ケースは現況ケースよりも流出率が増加していることに伴い、河川の流量も増加
②河川の流量増加に伴い、森林の宅地化ケースは外水氾濫のボリュームも増加
③主な浸水要因が外水氾濫であるエリアにおいて下水道(下水道幹線)に占める外水の通過流量が増加
④内水の排水量が減少
詳細につきましては、次の通りとなります。
紅水川右岸の氾濫ボリュームが、森林の宅地化ケースは現況ケースよりも増加しております(4.の右下の図参照)。そのため、エリア5において、森林の宅地化ケースは外水氾濫による浸水深が増大する傾向にあります。
また、エリア5には比較的管径の大きい下水道(以下、下水道幹線。「最大浸水深差分」の図では緑色の線)が整備されており、エリア6より東側に位置する排水機場(同図では紫色の丸)にて排水します。エリア5から通ずる下水道幹線は、排水機場までの間で、エリア6の下水道幹線と合流します。
エリア6で下水道排水量が低下し、浸水量が増大しているのは、エリア5で外水氾濫による浸水深が増大したため、下水道幹線においてエリア5からの排水量が増大し、エリア6の降雨による浸水が排水しきれなくなったことが主な要因となります。
このように、外水氾濫が内水浸水卓越地域にも下水道を介して影響を与えていることが判明しました。これは、河川整備等の外水氾濫への対策が、河川から離れた住民の方へも影響を与える可能性について示唆していると考えられます。
(ご質問3)について
4.の検討は、平成10年9月豪雨波形(以下、H10豪雨波形。年超過確率1/600程度)を用いております。3.の「降雨シナリオの設定」で掲載しているシナリオ2と3の降雨波形は、H10豪雨波形をもとに一部時間を引き縮めたものとなります。H10豪雨波形は、シナリオ2の降雨波形の図における、12時間~23時間を灰色、それ以外の時間は青(1/30と同一)となります。
降雨の空間分布につきましては、ご記載いただきました通り、一様でございます。
以上となります。よろしくお願いいたします。
中村様
エアロトヨタ(株)鈴田です。
詳細にご回答いただきましてありがとうございました。
外水氾濫が及ばないにも関わらず、下水の流量増加により下流側の内水被害が発生するというのは、住民にとってはなかなかリスクをイメージしにくいでしょうね(特に洪水ハザードマップで色がついていなかったりすると)。
今回はエリア6の浸水深は大きくありませんでしたが、例えば鉄道盛土など線状構造物によって外水氾濫が及ばない低地に下水を通じて大きな浸水被害が発生するようなケースも考えられると思います。
改めて、集水地形などではこのような内外水一体解析により最悪のケースへの備えをしておくことの重要性を痛感しました。
エアロトヨタ株式会社 鈴田さま
お世話になっております。国土技術政策総合研究所の中村です。
本研究にご理解くださり、誠にありがとうございます。
おっしゃるとおり、盛土等の線状構造物により、外水氾濫が及ばない低地に下水を通じて大きな浸水被害が発生することも考えられることかと存じます。
また、鈴田様のおっしゃる「最悪のケース」につきまして、当方と認識が違っておりましたら申し訳ございません。
「最悪のケース」の想定について、想定最大規模降雨を対象とした計算が考えられます。想定最大規模降雨を対象とした内外水一体型氾濫解析は本研究の対象外としておりますが、外水氾濫を対象とした洪水浸水想定区域図は高知県により作成されております。洪水浸水想定区域図によりますと、エリア分割を行った殆どの地域で0.5~3.0mの浸水となります。今回の検討範囲に限った事象かもしれませんが、大規模な外水氾濫が至る所で生じている場合においての外水氾濫による内水浸水への影響は、本研究で対象としたH10豪雨波形で検討した影響よりも、相対的に小さい可能性がございますことを念のためお伝えさせてください。
内外水一体型氾濫解析のモデル化・計算に労力や時間が必要なためお伝えいたしました。なお、「最悪のケース」を想定するために内外水一体型氾濫解析の適用することについて、否定するものではございません。
以上となります。よろしくお願いいたします。